異業種交流会の使い道は、4つに分けられる
日本商工会議所は、ビジネス交流の目的を「情報収集」「課題発見」「販路開拓」につながるものとして案内しています。参加する側から実務的に整理すると、次の4つになります。
| 用途 | 探しているもの | 出るまでの時間 |
|---|---|---|
| 販路 | 取引先・紹介してくれる人 | 半年〜 |
| 人 | 採用・外注先 | 数か月〜 |
| 相談相手 | 士業・専門家・同じ立場の経営者 | 数回〜 |
| 共同企画 | 一緒に何かをやる相手 | 1年〜 |
どれを目的にするかで、当日の動き方が変わります。販路を探しているなら業種の違う相手、採用なら人が動く業種の人、相談相手なら士業。異業種交流会に行く前にこれを決めておくと、話しかける相手が絞れます。
逆に、「とりあえず人脈を広げたい」で行くと、何も起きません。相手が動けないためです。
販路を広げる ― 異業種交流会では間に人が入る
最も期待される用途ですが、その場で取引が決まることはほとんどありません。実際に多いのは、間に人が入る形です。
- 話した相手が、別の相手を紹介してくれる
- その異業種交流会では何もなかったが、半年後に「そういえば」と連絡が来る
- 相手の取引先が困っている案件で、名前を出してもらえる
- 相手自身が困ったときに、思い出してもらえる
つまり、異業種交流会で得られるのは取引そのものではなく、思い出してもらえる状態です。ここを取り違えて当日に売り込むと、かえって逆になります。
販路につながりやすい業種
1件の単価が大きく、紹介と信用で決まる業種ほど向いています。建設・設備、印刷、士業、保険、地域密着のサービス業などが典型です。逆に、単価が低く数が必要な事業では、費やす時間に見合わないことがあります。
人を探す ― 採用と外注先
求人媒体に出す前の段階で使える用途です。「こういう人を探している」と口に出しておくと、心当たりのある人から声がかかります。
| 採用 | 外注 | |
|---|---|---|
| 相手 | 転職を考えている人・その知り合い | フリーランス・小規模事業者 |
| 決まる速さ | 遅い(数か月〜) | ✅速い(次の案件から) |
| 判断材料 | 紹介者の信用 | ✅実際に話した印象 |
| 異業種交流会との相性 | △間接的 | ✅直接つながる |
外注の相手を探す用途は、異業種交流会と特に相性が良くなります。発注する側は「頼める人」を、受ける側は「頼んでくれる人」を探していて、その場で目的が一致するためです。
採用については、その場で決まることはまずありません。ただし「あの会社が人を探している」という情報が回ることがあり、それが後から効きます。
相談相手を見つける ― 一番確実な用途
地味ですが、実際に得られる確率が高い用途です。
- 税理士・社労士・行政書士 ― 困ってから探すより、顔を知っている方が話が早い
- システムやウェブに詳しい人 ― 「これって何を頼めばいいのか」から聞ける
- 同じ立場の経営者 ― 同業には聞けない話ができる
- 先に経験した人 ― 事業承継、資金調達、初めての採用など
士業の側も、いきなり問い合わせが来るより、一度会ったことがある相手からの相談の方が背景を掴みやすくなります。双方にとって効率がいいため、この用途は成立しやすくなります。
そして、異業種の相手に自分の事業を説明すると、前提が通じない場所が分かります。「それは何のためにやっているのか」と素朴に聞かれて初めて、説明できない部分に気づくことがあります。これは当日その場で得られる数少ないものです。
共同で企画する ― 異業種交流会で一番大きく育つ形
頻度は低いですが、異業種交流会で起きることの中では最も大きく育つ形です。
- お互いの顧客に、相手のサービスを紹介し合う
- 片方が作り、片方が売る形で組む
- 合同でセミナーやイベントを開く
- 単独では受けられない規模の案件を、組んで受ける
これが起きるのは、たいてい何度か会った後です。1回目の異業種交流会で「一緒に何かやりましょう」と言われても形にはなりません。2〜3回会って、お互いの事業が分かってから動き始めます。
共同企画に向いているのは、顧客層は同じで、提供しているものが違う組み合わせです。同業だと競合になり、顧客層が違いすぎると紹介が回りません。
この4つは、どれか1つに絞る必要はありません。★ただし異業種交流会に行く前に、今日はどれを探すかを決めておくと動きが変わります。
4つのうち、起きやすいのはどれか
期待される順番と、実際に起きる順番は逆です。
| 用途 | 起きやすさ | いつ | 自分でどこまで決められるか |
|---|---|---|---|
| 相談相手 | ✅高い | 数回〜 | ✅自分から聞けば成立する |
| 外注先 | ✅高い | 次の案件から | ✅自分の発注で決まる |
| 採用 | 中 | 数か月〜 | 相手の転職の時期による |
| 販路 | △低い | 半年〜 | 🚨相手側の事情に左右される |
| 共同企画 | △低い | 1年〜 | 🚨双方のタイミングが要る |
自分の行動だけで決まる用途ほど、確実に起きます。相談相手を作るのは自分から聞けば成立しますが、販路は相手側に用事が発生しないと動きません。
1回で判断するなら、見るべきは上の2つです。販路や共同企画を1回で判断するのは、そもそも時期が違います。
有名な異業種交流会と、BNIのような会員制の団体
「有名な異業種交流会はどこか」もよく検索されます。ですが、名前が知られているかより、誰が責任を持って開いているかの方が判断材料になります。
| 主催者 | 性質 |
|---|---|
| 商工会議所 | 地域の会員事業者が中心。全国どの地域にもある |
| 公的支援機関 | 中小企業基盤整備機構など。経営課題の解決が目的 |
| 自治体・産業振興財団 | 地域の産業振興が目的 |
| 民間の運営会社 | 異業種交流会の開催そのものが事業 |
| 会員制の団体(BNIなど) | 継続参加が前提。紹介を仕組みにしている |
会員制の団体をどう見るか
BNIのように、紹介を仕組みとして持っている団体があります。定例会に出席し、参加者同士で紹介を出し合う形です。合う人にははっきり合い、合わない人には負担になります。
入る前に確認しておきたいのは次の点です。
- 年会費・入会金の総額と、そこに含まれるもの
- 出席の義務があるか ― 毎週や毎月の出席が前提の団体があります
- 紹介の義務があるか ― 一定数の紹介を求める仕組みがある場合、負担になります
- 途中でやめられるか
これは「怪しい」の話ではなく、合うか合わないかの話です。紹介を出せる事業なら仕組みが効きますが、紹介しにくい事業だと義務だけが残ります。総額と義務を先に確認しておけば、後から「思っていたのと違う」にはなりません。
★有名かどうかで異業種交流会を選ぶ人は多いのですが、実際に効くのは規模より、その異業種交流会が自分の用途に合っているかどうかです。
まとめ ― 異業種交流会は、使い道を先に決めてから行く
- 用途は4つ ― 販路・人・相談相手・共同企画
- 販路は直接ではなく、間に人が入る形で起きる(半年〜)
- 外注先を探す用途は、異業種交流会と特に相性が良い(次の案件から動く)
- 相談相手は、自分から聞けば成立するので確実性が高い
- 共同企画は最も大きく育つが、2〜3回会ってから始まる
- 自分の行動だけで決まる用途ほど、確実に起きる
- 有名かどうかより、誰が責任を持って開いているか
- 会員制の団体は総額と義務を先に確認する。合う合わないの話
「とりあえず人脈を広げたい」では、相手は動けません。4つのうちどれを探しているかを決めて、それを言葉にして持っていく。それだけで、異業種交流会での時間の使い方が変わります。
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