申し込む前に、異業種交流会の案内文から読み取っておくこと
当日の迷いは、たいてい案内文を読んでいれば消えます。服装も、何を話すかも、案内文に書かれた情報から逆算できます。
| 案内文の記載 | そこから決まること |
|---|---|
| 会場(ホテル/会議室/カフェ/バー) | 服装の基準 |
| 時間帯(朝・昼・夜) | 服装と、話す内容の温度 |
| 形式(立食/着席) | 荷物の量、何人と話せるか |
| 「1社1分PR」等の記載 | 自己紹介を用意していく必要があるか |
| 参加者の層(業種・職種) | 誰と話したいかを先に決められる |
| 会費と内訳(飲食の有無) | 食事の予定を空けるかどうか |
| 禁止事項の記載 | 勧誘の扱いを運営が決めているか |
この7つが読み取れない会は、行ってみるまで分かりません。それ自体が問題というわけではありませんが、はじめての1回目に選ぶなら、書いてある会の方が動きやすくなります。
はじめての異業種交流会では、案内文に書かれていないことを心配しがちですが、実際に当日必要になるのは、書かれている範囲でほぼ足ります。
異業種交流会の服装は、会場と時間帯で決まる
「服装は自由です」と書かれていることが多く、そこで迷います。判断の基準は会場と時間帯です。
| 会場・時間帯 | 服装の目安 |
|---|---|
| ホテル・宴会場/夜 | スーツ、またはジャケット着用 |
| 会議室・貸会議室/昼〜夜 | ジャケット。ネクタイは会によって分かれる |
| 朝活・カフェ/朝 | きれいめのオフィスカジュアルで足りることが多い |
| ランチ会 | 同上。仕事の途中で来る人が多い |
| バー・ラウンジ/夜 | カジュアル寄り。ただし会の目的を確認(→出会い目的の会) |
異業種交流会では浮くことより、周りより少し整っている方が損をしません。暑ければ脱げますが、無い状態から足すことはできません。会場に着いて周囲を見てから、脱ぐか決められます。
「私服でお越しください」と書かれていたら
これは「スーツでなくてよい」という意味であって、「何でもよい」ではありません。ジャケットにパンツ、襟のあるシャツ程度が無難です。デニムやスニーカーは、会場がカフェやコワーキングであれば浮きません。
服装(女性)と、夏・冬 ― 交流会に特有の事情
基本の考え方は同じで、会場と時間帯から決めます。そのうえで、異業種交流会に特有の事情がいくつかあります。
- 立食形式は、立っている時間が長い ― 靴は歩ける・立てるものを選ぶ
- 名刺入れを出し入れする ― バッグは開け閉めしやすいものが動きやすい
- 荷物を預けられない会場がある ― 大きな荷物は持ち歩く前提で考える
- 手が塞がる ― グラス、皿、名刺を同時に扱う場面が出ます
夏の服装
クールビズが定着しているため、ジャケット無しでも浮かない会が増えています。ただし会場が冷房で冷えることがあるため、羽織るものを1枚持つと調整できます。屋外を歩く時間が長い会場なら、着いてから羽織る形でも構いません。
冬の服装
コートを預けられるかどうかを確認しておくと動きやすくなります。クロークがない会場では、コートを持ったまま名刺交換をすることになります。薄手で畳めるものの方が扱いやすくなります。
異業種交流会の服装で失敗するとしたら、「浮いた」ではなく「動きにくかった」の方です。立って話し続ける異業種交流会では、その差が2時間で効いてきます。
名刺は何枚持つか ― 異業種交流会での渡し方
参加人数の半分から同数を目安に持っていくと足ります。30人の会なら15〜30枚です。全員と話すことはないため、人数分をきっちり用意する必要はありません。
渡し方は、厳密でなくていい
名刺交換の作法は本やビジネスマナー研修で細かく説明されますが、異業種交流会の場では立ったまま同時に交換する形がほとんどです。順番や高さを気にするより、次の3つの方が実務的です。
- すぐ取り出せる場所に入れておく ― バッグの底だと会話が止まります
- もらった名刺をその場でしまわない ― 手に持ったまま、名前を見ながら話す方が自然です
- 裏に日付とメモを書く ― 帰宅後、誰が誰か分からなくなります
「◯月◯日 ◯◯交流会/◯◯の話」と書いておくと、お礼メールを書くときに、具体的な一言が入れられます。この一言があるかどうかで、その他大勢の一通になるかが変わります。
異業種交流会に持っていく名刺は、多すぎても困りません。足りない方が、その異業種交流会の残り時間に響きます。
名刺がない・切らした場合 ― 交流会に出られないわけではない
会社員でない、これから始めるところ、単純に切らした。いずれの場合も参加できないわけではありません。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| そもそも名刺を持っていない | 作っておく方が動きやすい。屋号と連絡先だけでも成立します |
| 当日に切らした | 正直に伝え、その場で連絡先を交換する。後日メールで名乗る |
| 会社の名刺を使いたくない | 個人名義のものを別に作る人もいます |
| 連絡先を渡したくない相手 | 渡さなくて構いません。全員に渡す義務はありません |
名刺が無いことより、名乗らないことの方が問題になります。何をしている人か分からない相手は、後から思い出せません。名刺が無い場合は、口頭で事業内容を一言添えると印象に残ります。
名刺が無い状態で異業種交流会に出ること自体は、珍しくありません。異業種交流会では、名乗り方の方が見られています。
持ち物 ― 名刺入れのほかに要るもの
- 名刺と名刺入れ(もらった名刺を入れる場所も要る)
- ペン ― 名刺の裏にメモを書くため。会場に無いことがあります
- 会費(当日払いの会は、お釣りが出ない金額で用意すると早い)
- スマートフォンの充電 ― 連絡先の交換や地図で使います
- 羽織るもの ― 会場の温度は読めません
逆に、会社案内やパンフレットは、頼まれていなければ不要です。受け取る側は荷物になり、営業に来たという印象が先に立ちます。
名刺は、異業種交流会が終わったあとに一番使います。その場で渡す枚数より、持ち帰った名刺をどう扱うかで差が出ます。
異業種交流会の自己紹介は、30秒から1分
多くの会で、自己紹介の持ち時間は30秒から1分に設定されています。札幌商工会議所の異業種交流会のように、1社1分のPRと自由交流を分けて実施している例もあります。
この時間は短いようで、用意していないと確実に足りません。逆に、用意していれば余ります。
1分で入る量
| 要素 | 目安 |
|---|---|
| 社名・氏名 | 5秒 |
| 何をしている会社か(一言) | 10秒 |
| 具体的に何ができるか(1つだけ) | 20秒 |
| ★何を探しているか | 20秒 ― ここが一番効く |
| 締め | 5秒 |
事業内容を長く説明しても、相手は動けません。「何を探しているか」まで言うと、その場で心当たりを出してもらえることがあります。
異業種交流会の自己紹介は、業種を言うだけで終わりがちです。その異業種交流会に何をしに来たかまで言うと、相手が動けます。
自己紹介の例文 ― 職種を言うより、探しているものを言う
★の行だけ、自分の言葉に置き換えてください。そのまま使うと、同じ会に出た人と重なります。
1分の場合
△△株式会社の(氏名)と申します。
◯◯(地域・分野)で、◯◯を手がけております。
★具体的には、◯◯のような場面で、◯◯という形でお手伝いすることが多いです。
★いま探しておりますのは、◯◯に詳しい方です。もしお心当たりがありましたら、あとでお声がけいただけると嬉しいです。
本日はよろしくお願いいたします。
30秒の場合
△△の(氏名)です。◯◯をしております。
★◯◯に詳しい方を探しています。よろしくお願いいたします。
1対1で話すとき(自己紹介の場がない会)
持ち時間のある自己紹介がない会もあります。その場合は名刺交換の直後に、同じ内容を短く口頭で言う形になります。20秒あれば足ります。
これが一番多い自己紹介ですが、聞いた側は動けません。「◯◯ができる人を探している」「◯◯の業界の話を聞きたい」まで具体的だと、その場で心当たりが出ます。
異業種交流会の自己紹介は、上手く話すことが目的ではありません。相手が「この人に何を聞けばいいか」を掴めれば、それで足りています。
何を話すか ― 交流会で話題に困ったときの3つ
名刺を交換した後、沈黙が来ます。ここで困る人がほとんどです。用意しておく質問は3つで足ります。
- 「どういうきっかけで、この会に?」 ― 誰にでも答えがあり、相手の状況が分かります
- 「◯◯というのは、具体的にどんなお仕事ですか?」 ― 名刺の肩書きから聞けます
- 「いま、どんな方とつながりたいですか?」 ― 相手が探しているものが分かり、紹介できるか判断できます
3番が特に効きます。自分が売り込むのではなく、相手の探しものを聞く。心当たりがあれば紹介でき、なければ「また何かあれば」で自然に終わります。
避けた方がいい話題
- いきなり自分のサービスの説明を始める
- 相手の売上や規模を聞く
- 他の参加者の評価
- 政治・宗教・支持政党 ― 初対面では分岐が大きすぎます
異業種交流会で沈黙が生まれるのは、相手のせいではありません。異業種交流会は初対面同士なので、質問がないと止まる場です。
当日の流れ ― 到着から解散まで
会によって差はありますが、おおむねこの順です。
| 時間 | 起きること | やること |
|---|---|---|
| 開始10分前 | 受付。会費の支払い、名札の受け取り | 早めに着くと、開始前に1〜2人と話せる |
| 開始 | 主催者の挨拶、会の説明、禁止事項の確認 | 禁止事項は聞いておく |
| 前半 | 自己紹介(1社1分など) | 用意した内容を話す |
| 中盤 | 自由交流。ここが本体 | 3人に絞って話す |
| 後半 | 会によっては席替え、テーマ別の分科会 | 話せていない人がいれば動く |
| 終了 | 締めの挨拶、連絡事項 | — |
| 解散後 | 二次会の声がかかることがある | 行かないと決めておいてよい |
受付が一番話しかけやすい時間帯です。まだ人が少なく、全員が手持ち無沙汰にしています。開始後は輪ができてしまい、入りにくくなります。
はじめての異業種交流会で全部を覚えて行く必要はありません。当日その場で使うのは、結局この3つの質問だけです。
異業種交流会に一人で参加するときの動き方
ほとんどの参加者が一人で来ています。知り合いと来ている人の方が少数です。
- 早めに着く ― 受付の時間が一番入りやすい
- 2人で話している輪に入る ― 3人以上の輪より入りやすく、断られません
- 主催者に話しかける ― 紹介してもらえることがあります。それが主催者の役目でもあります
- 飲み物を取りに行く動線を使う ― 移動のついでに声をかけると自然です
- 一人になったら、一度外の空気を吸う ― 立て直せます
全員と話そうとすると、疲れるだけで誰も覚えていません。30人と名刺交換するより、3人と深く話す方が後につながります。これははじめての回でも、10回目でも同じです。
一人で異業種交流会に行くことに気後れする必要はありません。会場を見渡すと、ほとんどの人が同じように一人で立っています。
マナーとルール ― 固有なのは3つだけ
異業種交流会のマナーとして語られることの多くは、一般的なビジネスマナーと同じです。異業種交流会に固有のものは、実質3つだけです。
- 一人を独占しない ― 交流の場なので、長く話し込むと相手が動けなくなります
- その場で売り込まない ― 商談の場ではありません
- 会で知った他人の情報を、外に持ち出さない ― 事業の話が出ることがあります
会によっては禁止事項が明記されていることがあります(勧誘の禁止、同業の人数制限など)。開始時の説明で読み上げられることが多いので、聞いておくと後で助かります。
それ以外の細かい作法は、覚えなくても問題になりません。名刺の渡し方の順番を間違えて評価が下がることは、まずありません。
異業種交流会のマナーは、覚えるより一度出てみた方が早く分かります。2回目の異業種交流会では、もう迷いません。
まとめ ― はじめての異業種交流会は、3人と話せば十分
- 当日の迷いは案内文を読めば消える(会場・時間帯・形式・自己紹介の有無)
- 服装は会場と時間帯で決まる。迷ったらジャケット(脱げるが、足せない)
- 名刺は参加人数の半分から同数。裏に日付とメモを書く
- 名刺が無いことより、名乗らないことの方が問題
- 自己紹介は30秒〜1分。職種より「何を探しているか」を言う
- 話題は3つ用意する。相手の探しものを聞くのが一番効く
- 受付の時間が、一番話しかけやすい
- マナーで固有なのは3つだけ。細かい作法は覚えなくていい
- 3人と話せば十分。全員と話そうとすると疲れるだけで残らない
そして、帰ってからが本番です。名刺の裏に書いたメモが、翌日の一通に変わります。