異業種交流会のやり方 ― 先に決める4つ
会場を押さえる前に決めることがあります。ここが決まっていないと、告知が書けません。
- 誰に来てほしいか ― 全員に開くほど、話が噛み合わなくなります
- 自己紹介の時間を取るか ― 取らないと、話せる人だけが話す場になります
- 会費と内訳 ― 会場費と飲食を先に出すと、赤字にならない金額が決まります
- 禁止事項 ― 勧誘や営業の線を先に書いておくと、後から止めやすくなります
1番が一番大事です。「誰でも歓迎」の異業種交流会は、参加者が集まっても話が噛み合いません。業種を絞る、地域を絞る、立場を絞る。何かで絞った方が、来た人同士がつながります。
人数は少なくていい
異業種交流会は6人でも成立します。むしろ少人数の方が全員と話せて、参加者の満足度は上がることがあります。30人集めようとして開催が延期になるより、6人で3回開く方が続きます。
会場の決め方
| 会場 | 向いている規模 | 注意点 |
|---|---|---|
| カフェの一角 | 4〜8人 | 予約が要るか、他の客の迷惑にならないか |
| 貸会議室 | 10〜30人 | ✅飲食の持ち込み可否を確認 |
| 飲食店の個室・貸切 | 10〜40人 | 最低人数の条件があることが多い |
| コワーキング | 10〜20人 | 会員でなくても借りられるか |
| オンライン | 制限なし | ✅会場費ゼロで始められる |
異業種交流会を開く側になると、参加していたときには見えなかったものが見えます。★どんな異業種交流会も、この4つが決まっていれば形になります。
告知に何を書くか ― 異業種交流会で読まれる項目は決まっている
参加する側が案内文で見るところは決まっています。ここが書かれていない告知は、判断できないので申し込まれません。
| 項目 | なぜ読まれるか |
|---|---|
| 主催者名・連絡先 | 怪しくないかを最初に見る |
| 日時・場所・所要時間 | 予定を空けられるか |
| 会費と内訳(飲食の有無) | 同じ金額でも意味が変わる |
| 当日の流れ | 自己紹介があるかどうか |
| 参加者の層 | 自分が浮かないか |
| 禁止事項 | 勧誘を受けないか |
| キャンセル規定 | 予定が変わったときどうなるか |
特に、主催者名と禁止事項です。この2つが書かれているだけで、参加する側の警戒はかなり下がります。逆に無いと、内容が良くても申し込みが伸びません。
→ 参加者がどう読むかは 申し込む前に、案内文のどこを見るか
「こういう方に向いています」と書くと、来る人が揃います。絞ることを恐れると、誰も自分ごとだと思いません。異業種交流会の告知で一番効くのはここです。
チラシ・バナーのデザイン ― 交流会の告知で効くもの
紙のチラシもオンラインのバナーも、役割は「読む気にさせる」までです。詳細は申込ページに置きます。
- 日時・場所・会費を、探さずに読める位置に置く ― これが無いと問い合わせが増えます
- 誰向けかを1行で書く ― 「◯◯の方へ」だけで反応が変わります
- 情報を詰め込まない ― 紙面の8割が文字だと読まれません
- 主催者名を入れる ― 匿名のチラシは警戒されます
- 申込先を明確に ― QRコード、URL、電話のどれか1つは大きく
デザインの巧拙より、書かれている情報が揃っているかの方が申し込みに効きます。きれいなチラシでも会費が書かれていなければ、判断できないので申し込まれません。
SNSで告知する場合は、画像を見ただけで日時と場所が分かる形にすると、拡散されたときに機能します。文章の方は流し読みされます。
チラシは、異業種交流会そのものの質を伝える紙ではありません。★判断に必要な情報が揃っているかだけを見られています。
名札は、交流会で思っているより効く
省かれがちですが、名札があるかどうかで異業種交流会の進み方が変わります。
- 名前を聞き直さなくて済む ― 初対面で最も気まずい場面が消えます
- 業種を書いておくと、話しかける理由になる ― これが一番効きます
- 離れた場所からでも読める大きさにする ― 小さいと意味がありません
- 首から下げる形が動きやすい ― 立食では服に留めるタイプは落ちます
名札に業種を書く欄を作るだけで、参加者が自分から動けるようになります。「◯◯をされているんですね」から会話が始まるためです。名前だけの名札より、業種入りの方が交流の量が変わります。
名札に業種を入れる異業種交流会と、名前だけの異業種交流会では、★参加者が動く量が変わります。
当日の進行 ― 自由交流が本体
進行の型はほぼ決まっています。時間配分だけ、先に決めておきます。
| 時間 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 開始前 | 受付・会費の受け取り・名札 | 10〜15分 |
| 開会 | 主催者の挨拶・禁止事項の確認 | 3〜5分 |
| 自己紹介 | 1人30秒〜1分 | 人数×1分 |
| 自由交流 | ★ここが本体。一番長く取る | 全体の半分以上 |
| 締め | 締めの挨拶・次回の案内 | 3〜5分 |
自己紹介に時間を使いすぎると、自由交流が削られます。20人の会で1人2分話すと、それだけで40分です。人数が多い異業種交流会ほど、自己紹介は短く区切る必要があります。
途中で動きを作る
自由交流を1時間そのまま置くと、最初に話した相手のまま固まります。途中で1回、席替えや「動いてください」の声かけを入れるだけで、話す相手の数が変わります。
札幌商工会議所の異業種交流会のように、1社1分のPRと自由交流を分けて実施している形は、この設計になっています。
異業種交流会の進行で削ってはいけないのは自由交流です。★挨拶や説明を短くして、異業種交流会の本体に時間を回します。
開会・乾杯・中締め・締めの挨拶 ― 主催者が話す4場面
主催者が話す場面は4つあります。どれも短くて構いません。長い挨拶は誰も聞いていません。★の行だけ、自分の言葉に置き換えてください。
開会の挨拶(1〜2分)
本日はお集まりいただき、ありがとうございます。主催の(氏名)と申します。
★この会は、◯◯の方に集まっていただいて、◯◯のきっかけを作れればと思って開いています。
本日の流れですが、はじめに自己紹介を1人1分ずつ、そのあと◯時◯分まで自由に交流のお時間としております。
営業や勧誘を目的としたお声がけはご遠慮いただいております。お気づきの点があれば、私までお知らせください。
では、よろしくお願いいたします。
禁止事項は、この場で口に出しておきます。書いてあっても読まれていないことがあり、口頭で言っておくと後から止めやすくなります。
乾杯の挨拶(30秒)
それでは、乾杯の音頭をとらせていただきます。
★本日ここでお会いした方々と、この先も続くご縁になればと思います。
皆さまのご健勝とご発展を祈念いたしまして ― 乾杯。
乾杯の挨拶は短いほど良いとされています。グラスを持って待っている人がいるためです。30秒を超えないようにします。
中締めの挨拶(1分)
皆さま、お話が弾んでいるところ恐れ入ります。お時間になりましたので、いったん中締めとさせていただきます。
★本日は◯名の方にお集まりいただきました。ありがとうございました。
このあともお時間の許す方は、ぜひ続けてお話しください。お帰りの方は、お気をつけてお帰りください。
中締めは「帰っていい合図」です。これが無いと、帰りたい人が帰れません。時間で区切ることが、参加者への配慮になります。
締めの挨拶(1〜2分)
本日はありがとうございました。
★◯◯の話が出ていたのが印象的で、私自身も勉強になりました。
次回は◯月◯日を予定しております。決まりましたらあらためてご案内いたします。
本日はお疲れさまでした。お気をつけてお帰りください。
次回の予定を言えると、参加者が続けて来ます。決まっていなければ「あらためてご案内します」だけでも構いません。「次がある」と伝わることが大事です。
挨拶の型は覚えなくて構いません。★異業種交流会の主催者に求められているのは、話の上手さではなく、時間を区切ることです。
ルールの決め方 ― 異業種交流会は禁止事項を先に書く
異業種交流会のルールは、多くなくて構いません。実質的に必要なのは3つです。
- 営業・勧誘を目的とした参加の禁止 ― 特にネットワークビジネス・投資・宗教
- 一人を独占しない ― 交流の場なので、長く話し込むと相手が動けません
- 会で知った他人の情報を外に持ち出さない ― 事業の話が出ることがあります
この3つを告知と開会の挨拶に書いておくだけで、運営はかなり楽になります。後から注意するとき、「最初にお伝えした通り」と言えるためです。
実際に勧誘が起きたとき
主催者として止める場面が来ることがあります。その場で全体に注意するのではなく、個別に声をかける方が場が壊れません。それでも続くようなら、次回以降の参加をお断りする形になります。
参加者は、運営が線を引いているかを見ています。止められない異業種交流会は、まっとうな参加者から先に来なくなります。
同業の人数を絞るか
保険、不動産、士業などは、参加人数を制限している会があります。同業が多いと、参加者にとって「営業される場」になるためです。絞るかどうかは会の方針ですが、絞るなら告知に書いておきます。
★ルールを書いていない異業種交流会は、止める根拠を持てません。書いてあれば、異業種交流会の運営として堂々と声をかけられます。
オンラインで異業種交流会を開く場合
Zoomなどで開く形は、会場費がかからないぶん始めやすくなります。ただし、対面と同じ進行では成立しません。
- 雑談が生まれない ― 進行が話す人を指定しないと、沈黙になります
- 少人数の部屋に分ける ― 4〜6人ずつに分けると話せます
- 時間を短くする ― 対面2時間なら、オンラインは1時間が目安
- 入退室が自由なぶん、途中で抜ける人がいる ― 前提として設計します
- 名前の表示に業種を入れてもらう ― 名札の代わりになります
オンラインの異業種交流会で一番効くのは、部屋分けの設計です。全員が同じ画面にいる状態では、話す人が固定されます。4〜6人に分けて、10〜15分で入れ替える形にすると、対面より多くの人と話せることもあります。
オンラインの異業種交流会は、会場費がかからないぶん試しやすい形です。★はじめて異業種交流会を主催するなら、ここから始める手もあります。
まとめ ― 異業種交流会の主催は、設計がすべて
- 先に決めるのは4つ ― 誰に来てほしいか/自己紹介の時間/会費と内訳/禁止事項
- 「誰でも歓迎」にすると話が噛み合わない。何かで絞る
- 6人でも成立する。30人を待つより、6人で3回開く方が続く
- 告知で読まれるのは主催者名と禁止事項。これが無いと申し込まれない
- チラシはデザインより、情報が揃っているか
- 名札に業種を書く欄を作る。話しかける理由になる
- 自由交流が本体。自己紹介に時間を使いすぎない
- 挨拶は4つとも短く。乾杯は30秒、中締めは「帰っていい合図」
- ルールは3つで足りる。止められない会は、まっとうな人から来なくなる
- オンラインは部屋分けの設計で決まる
主催してみると、参加していたときには見えなかったことが分かります。良い異業種交流会には、必ず進行の設計があります。それが見えるようになると、参加する側としての会の選び方も変わります。
→ 異業種交流会とは? → 異業種交流会の種類 → 参加者は案内文のどこを見るか → 自己紹介の作り方